桜の香る『きつき紅茶匂い桜入り』レビュー・和紅茶の進化

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和紅茶を皆さんはご存じでしょうか?

紅茶はインドやスリランカといった海外のものが主流ですが、実は日本国内でも栽培され和紅茶(国産紅茶)として販売されています。

いまから20年くらい前に職場で和紅茶を試飲する機会があったのですが、当時の私は紅茶は海外の物と思いこんでいたためとても驚きました。

生産量が少ない和紅茶ですが、その歴史は今の日本茶にも大きく関わっています。

今回は久しぶりにお取り寄せした和紅茶、きつき紅茶をご紹介します。

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和紅茶の歴史

和紅茶の歴史は明治から始まります。

当時日本の主要輸出品は絹糸やお茶でした。

お茶は主に緑茶でしたが粗悪品や偽物が多く出回ったため、海外での緑茶の価値が値下がりしてしまいます。

そこで1875年(明治8年)幕府は西洋で多く好まれている紅茶を国内でも生産しようと、主要な紅茶生産国であったインド・中国・セイロン(スリランカ)に多田元吉を視察のため派遣します

多田元吉は静岡で大規模な緑茶の茶園を運営していたため、その技術をかっての抜擢でした。

明治時代にインド、中国、セイロンの山奥の茶園へ旅するのは現在と違って探検に近く、かなり危険な命がけの旅だったと記録されています。

そんな苦労の末に1877年多田元吉は各地の様々な製茶技術と共に、インドのアッサム地方から茶の木を日本に持ち帰ります。

そして1881年、静岡県丸子で初めての本格的な紅茶栽培が開始されます。

この時の紅茶の製茶技術は緑茶にも応用され、日本の茶業全体に大きく貢献し多田元吉は日本の紅茶・緑茶の祖と言われています。

その後、国産紅茶は価格競争力の低下や、1971年の紅茶の輸入自由化による関税の撤廃により、多く販売されるようになった海外紅茶に押され大きく衰退していきます。

今では生産地での消費程度の小規模なものになりましたが、現在も国産紅茶の文化を守って各産地の特色を生かした品種の改良が進んでいます。

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きつき(杵築)紅茶はどこの紅茶?

きつき紅茶は大分県杵築市(きつきし)で生産される国産の紅茶です。

1956年、山間部で良質な緑茶がとれることを知った松山意佐美医師が、地域の特産としてお茶を栽培しようと呼びかけ茶業組合を立ち上げました。

やがて杵築が紅茶の栽培に適している事が分かり、紅茶栽培に着手します。

資金不足や様々な苦労を乗り越え、1964年の全国茶品評会で一等三席という上位入賞を果たします。

さらに翌1965年の品評会では一等一席で農林大臣賞を受賞し、杵築紅茶の名前を全国に知らしめました。

しかし国産紅茶(和紅茶)の歴史でも触れましたが、紅茶の輸入自由化により海外の紅茶が多く流通するようになり国産紅茶は価格が下落してしまいます。

杵築の紅茶も同様に衰退し、紅茶栽培を推奨していた政府の政策転換もあり、紅茶から緑茶栽培への転向を余儀なくされ、1970年ごろには生産が途絶えてしまいました。

今回お取り寄せした「きつき紅茶」を作る阿南康児氏の奥様は松山医師のお孫さんにあたります。

緑茶を栽培しながら、当時栽培していた紅茶の木を絶やさず大切に保持されていたそうです。

阿南氏は茶畑を受け継いでから杵築の紅茶の復活を目指し、品種にあった栽培方法や加工技術の改良を重ね紅茶栽培を再開したのです。

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きつき紅茶『べにたちあわせ』を試飲

べにたちあわせは、1953年に登録された品種だそうです。

和紅茶といえばべにふうきが有名ですが、べにたちあわせは生産数が少ない品種ということで選んでみました。

ほんのりとグレーがかった青みの感じられる綺麗な茶葉です。

湯量180ml・茶葉3g・蒸らし3分でいれてみました。

綺麗なオレンジ色の水色です。

茶殻は柔らかく香ばしい香り。大きさも揃っています。

べにたちあわせ

水色:淡いオレンジ色

香り:さつまいもやキャラメルのような香ばしい甘みのある強い香り。

味:しっかりコクのある味だがアッサムなどより軽く、ストレート向きで軽やか。渋みは控え目。渋みの苦手な人がストレートで飲める味。味わいは個性的だが、後味はセイロンティーのようにスッキリとしている。

香りが良くコクが有るけど渋くない。

中国茶っぽさを感じる個性的な味で美味しいです。

飲んだ後も口内に良い香りが余韻として残ります。

ただ、いわゆる紅茶らしい味では無いので、好き嫌いがあるかもしれません。

私はとても美味しいと思います。

きつき紅茶『匂い桜花入り』を試飲

匂い桜花という可愛らしいネーミングにピンクのパッケージ。ちょっとした手土産に良いですね。

きつき紅茶はパッケージが40gと少量なので、一日の紅茶量をセーブしていて大量消費出来ない私には非常にありがたいです。

きちんと光を通さない、密封できる袋なのも便利!

こちらの紅茶には、茶園にある匂い桜という香りの強い品種の花が入っています。

茶葉は「べにたちあわせ」より大きくほぼ原形。桜の花もそのまま入っていてとても可愛らしいです。

これはお花見の季節に是非味わいたいですね。

袋を開けるとほんのり桜の香り。

人工的な香料ではないのでガツンと香るわけではありません。

でもこのほんのりとした香りって、フレーバーティーのきつい香りが苦手な人も受け入れやすいと思います。

「べにたちあわせ」より淡く黄色味のあるオレンジ色です。

茶殻は大きく柔らかい。

透き通るような桜の花が混じります。

湯量180ml・茶葉3g・蒸らし3分でいつも通りいれてみます。

匂い桜花入り

水色:黄味がかった淡いオレンジ。

香り:ほんのりと桜の香り。茶葉自体も花のように香る。

味:べにたちあわせより更に渋みが少ない。軽やかで飲みやすく、時間を置いて冷えても渋みが殆ど出ない。

紅茶はいれてから時間が経過して冷えてくると渋みが増すものが多いのですが、こちらは冷えても渋みを殆ど感じません。

茶葉の状態より紅茶としていれた後の方が桜の花の芳香が立っています。

日本人はこの香りを嗅ぐと桜餅をどうしても連想しますね。そのせいか甘い香りに感じます。

でも甘ったるい訳では無く、紅茶の味を阻害するような香りでも無く程よい匙加減です。

とても繊細なバランスで、日本人の作った紅茶らしさを強く感じました。

最初にも書きましたが、パッケージといい、季節を感じさせる味わいといい気軽なギフトにぴったりです。

今回購入した「べにたちあわせ」「匂い桜花」はたまたまなのか、両方とてもまろやかな渋味の少ない紅茶でした。

茶葉の大きさ的に蒸らしは5分のほうが良いかもしれません。

やはり和を感じさせる紅茶なので、和菓子と味わうととても良く合うと思います。

「べにふうき」はもう少しきりっとした味のようなので、次の機会に購入しようと思います。

個人的に「豊後梅花入り」も非常に気になってます。

久しぶりに味わう国産紅茶は個性豊かで、やはり日本の風情を感じてとても美味しかったです。

静岡や鹿児島でも国産紅茶は生産されているので、また機会があれば色々試してみようと思います。