めっきりと肌寒くなってきましたね。
晩秋になると温かい紅茶がより美味しく感じられます。
中でもスパイスをたっぷりと入れたチャイは、カフェで人気のメニューです。
牛乳たっぷりのチャイは美味しいけれど、どうせなら身体に優しい豆乳でも美味しいチャイが作れないかな。
思い立ったのでレシピを考えてみました。
今回は少し長くなるので、まず1回目は茶葉やスパイスの大まかな説明、2回目は実際のレシピと作業の補足説明になります。
説明はいいからとにかくレシピを読みたいという方はこちらをどうぞ。
『チャイ』にぴったりな茶葉
まず絶対に、茶葉はしっかりと濃く味が出るものを選びましょう。
紅茶には主に繊細な香りを楽しむタイプと、香りは若干弱いけれど強いコクや渋味があり濃い味を楽しむタイプが有ります。
前者はダージリンやヌワラエリヤ、後者はアッサムやニルギリやキャンディなどです。
チャイに向くのもスパイスやミルクに負けない濃い味が出せるアッサム、ニルギリ、キャンディが向いています。
イギリスの植民地だったインドは紅茶を生産してはいましたが、品質の良い茶葉は全て欧州に輸出され、商品にならないダストと呼ばれる塵のような茶葉だけが国内に残っていました。
この残った茶葉をインド国民に売りさばこうと、紅茶の広報活動を開始するのですが、品質の悪い茶葉は苦みや渋味が強く評判も良くありません。
そこで紅茶にたっぷりと砂糖とミルクを加え更にスパイスで風味をつけたインド式のチャイが考え出されたのです。
茶葉の形状はBOPやCTCなどの細かい茶葉が良いです。
私がよく使うのはアッサムのCTCです。
店舗で選ぶ際にはミルクティー向きと書かれている茶葉で大きな茶葉ではなく細かく処理された茶葉
を選びましょう。
昨今はチャイもすっかり認知度が上がっているので、チャイ用と書かれた茶葉も販売されています。
おすすめ茶葉幾つか挙げますのでお好きな物をどうぞ。
マヤティーのアッサムCTC
シルバーポットのアッサムCTC
ロンドンティールームのロイヤルミルクティー用茶葉。
もちろんチャイ用にも使えます。
紅茶は茶葉の大きさによって等級が分けられます。
一番大きな茶葉からOP(オレンジペコー)>BOP(ブロークンオレンジペコー)>BOPF(ブロークンオレンジペコーファニングス)>D(ダスト)と分類されます。
もう少し細かい等級分けも有りますが、一般的に目にするのはこれくらいです。
CTCは茶葉の等級ではなく、細かい茶葉を押しつぶして丸める製法で作られた茶葉の事です。
BOP以下の細かな茶葉やCTCは短時間で濃い味が出せるため、アイスティーにも向いています。
チャイに使用する主なスパイス4つと使い方
チャイに入れるスパイスは人によって様々です。
その中でも『これを入れたらチャイの味になる』という代表的なスパイスを4つ取り上げます。
説明はいいから簡単に使えるチャイ用スパイス知りたいというかたはこれがおすすめ。
ジンジャー
ジンジャーは日本人にも馴染み深いスパイスです。
薬味として使う根生姜でも、風味の柔らかな新生姜でも、どちらを使用しても大丈夫です。
よりパンチの有る味わいが欲しい方は根生姜のほうが良いでしょう。
チャイの本場インドでもジンジャーはよく使われ人気が有ります。
生姜はスーパーで手軽に入手出来るので、まずはジンジャーだけのチャイをいれてみるのも良いと思います。
根生姜や新生姜は皮を剥いて薄い輪切りにして使用するか、摺り下ろして使用します。
風味はスライスより摺り下ろして使用するほうが強く出ます。
もし生姜を購入しても使いきれないという場合は、摺り下ろした状態で1回分ずつ小分けしてラップでぴったりと包んで、ジプロックに入れて冷凍保存します。
物産展などで販売される生姜パウダーを使用するのも手軽です。
ただしフレッシュな生姜とパウダーの生姜では風味がかなり違いますので試してみてお好みのほうを使用してください。
生姜の辛みが特に苦手な人はパウダーで量を調節すると良いですよ。
シナモン
ジンジャーの次に手に入りやすいスパイス。
クスノキ科ニッケイ属の木の樹皮を剥いで乾燥させたものです。
ニッケイと聞いて八つ橋に使用されるニッキを思い浮かべる人もいると思いますが、ニッキもシナモンの仲間です。
ただしニッキは樹皮では無く根の皮から作られ、シナモンより香りが控え目で代わりにぴりっとした刺激的な辛みがあります。
シナモンはスリランカや南インドが主な生産地で、紅茶の産地としても有名なスリランカで生産されるセイロンシナモンが最高級品です。
シナモンはチャイで使用する以外にリンゴやバナナと相性が良いので、デザートを手作りされる人なら常備しているかもしれません。
またシナモンパウダーはココアの隠し味に一振り使うと味に深みが出て美味しいです。
クローブ
和名を丁子(ちょうじ)と言い、花蕾の部分を乾燥させたスパイスです。
ヨーロッパではオレンジやリンゴに刺してポプリとしてよく使用され、とても強い芳香を持ちます。
こちらも最近はスーパーなどで手に入りやすくなりました。
クローブの香りには虫が嫌う成分が含まれているため、古くは防虫剤としても使用されていました。
肉類と相性が良く、パウダーはハンバーグなどのひき肉に混ぜ込むと奥行のある風味になります。
クローブ単体で嗅ぐとあまり好きな香りではない方もいると思いますが、ほのかに甘く、刺激的なクローブの芳香はチャイに入れると風味がびしっと決まりお勧めです。
カルダモン
4つの中で一番入手しにくいスパイスです。
とはいえ最近ではカルディなどの輸入食品店や製菓材料のお店で入手可能です。
店舗が近所にない場合は通販でも入手可能です。
カルダモンは非常に爽やかな甘みのある香りで、スパイスの女王ともいわれます。
お菓子に使用するような甘い香りなのですが、実はインドカレー等でよく使用されています。
もし自宅でチャイを作っていて、どうにもお店のような味にならないなと感じた方は、是非カルダモンを加えてみてください。
一気にお店のプロの味に近づきますよ。
チャイだけではカルダモンを使いきれないという場合は、カルダモンホットミルクがおすすめです。
牛乳300mlにカルダモンを2粒から4粒程度入れて温める。
沸騰したらすぐ火から下ろす。
お砂糖をお好みの量、塩を隠し味に一つまみ入れて出来上がり。(塩は砂糖の量に応じて加減してください)
砂糖は蜂蜜やメープルシロップなど好みの物に変えても大丈夫です。
カルダモンの爽やかな香りで、牛乳の香りが苦手な人も美味しくいただけますよ。
カルダモンはショウガ科の植物でさやごと種子を乾燥させたものです。
さやの中の黒い種子がよく香りますので、ホールで使用するときは緑色のさやに切り込みを入れたり潰したりして香りがよく出るようにします。
カルダモンは苦みが強いですので、もし料理でカルダモンが入っていてもうっかり噛んでしまわないように注意しましょう。
ワイルドカルダモン(ブラウンカルダモン)という良く似た名前のスパイスがありますが、こちらはカルダモンとは近縁ではあるのですが使用方法も香りも全く違います。
間違って購入しないようにしましょう。
スパイスは粉末か原形(ホール)どちらを使う?
スパイスは原形そのままのホールタイプと粉末にされたパウダータイプが販売されています。
基本的に、ホールを長時間の煮込みに、パウダーは後から振りかけたりひき肉などに練りこむ場合に使用します。
パウダーは香りがとんでしまいやすく長期保存や長時間加熱にあまり向きません。
理想としてはホールで保存し、使用直前に砕いたり潰して香りが立ちやすくして使用します。
しかし家庭で使う場合はホールを逐一砕くのは面倒かもしれません。そういった場合やホールが手に入らない場合はパウダーを使用します。
パウダーは保管場所と投入するタイミングに注意しましょう。直射日光を避け温度の上下が激しくない場所が良いです。
調理の際ホールは水からいれてじっくり煮込みますが、パウダーは途中で投入すると香りが消えにくいです。
詳細はレシピの方で説明します。
上記した使用手順や保管の注意さえ気をつければホールでもパウダーでも美味しいチャイがいれられます。
スパイスを複数購入するのは面倒!という人向きにチャイ用のスパイスミックスも販売してます。
おすすめはマヤティーのブロークンタイプのマサラチャイスパイス。
スパイスは前述のとおり細かすぎると香り飛びやすいし、原形だと香りが移りにくいのでブロークンタイプが使いやすいです。
無調整豆乳と調整豆乳の違い
豆乳チャイの主役とも言える豆乳。
チャイに使用する場合は調整豆乳を使用しましょう。
販売されている豆乳には無調整豆乳と調整豆乳が有ります。
無調整豆乳は名前の通り大豆と水のみで作られた他に何も加えられていない豆乳で、調整豆乳は大豆と水以外に糖分や油分などを加えて、マイルドに飲みやすくしています。
無調整豆乳はそのまま飲むには良いのですが、チャイにするとどうしても水っぽくなります。
原材料が大豆と水だけなので良く言えばさっぱりしている、悪く言えばコクが足りなく水っぽい味になります。
また加熱すると無調整豆乳のほうが分離してモロモロになりやすいので、チャイに使用するのは調整豆乳が良いです。
さて材料の準備が整ったら、次記事は『豆乳で作る美味しいチャイ』の実践編です。