前回の続き。
友人が引っ越し祝いをプレゼントしてくれるという事で、喜び勇んで新しいティーポットをリクエストしたものの、紅茶を美味しくいれるティーポットには幾つか条件が有ります。
前回はその条件を纏めました。
今回は実際にティーポットを探すお話。
ネットで条件に合うポットを探すのは意外に難しい
友人は紅茶の基本を知っている人なので「容量600mlくらいでシンプルな日常使いなもの。内部のストレーナー(茶こし)はついていないタイプで、出来ればブログの撮影にも使用したい」という希望を伝えてお任せすることにしました。
暫くして友人からこんなメールが。
大変!!
ストレーナー付きじゃないティーポットが殆ど見当たらないよー。
なんと、ネットで見てみたティーポットは殆どストレーナーが付いているとのこと。
驚いて私も検索してみたら、ネット販売されている日常使いのティーポットは、ほぼ内部ストレーナー付き。
さすがにボーンチャイナや白磁で数万円もする高額なものはストレーナーが付いていないのですが……もっと普段気軽に扱えるポットは無いの?!
おそらく実際に店舗で探してみれば、たくさん選択肢が有るんだろうと思います。
しかし残念ながら現在はコロナで出来るだけ外出を控えてるので、気軽にティーポット探しに行けません。
悩んだ末ついには「ストレーナーは取り外して使えばいい」という身もふたもない結論に達しました。
まさか手ごろなストレーナー無しポットがこんなにも数少ないなんて・・・・・・。
そんな経緯から『ストレーナー無し』という条件を思い切って外し、やっと決まったのが、友人が探し出してくれた素敵なポット「ロンドンポタリー」でした。
1981年にロンドンのウィンブルドンで設立された会社。
様々なティーポットを手掛け、日本では「FARM HOUSE」シリーズが最も有名。
今回友人がプレゼントしてくれたのも「FARM HOUSE」シリーズで、サイズは小さいほう。
正規代理店のサイトで小サイズは2cup用とありますが容量は550ml。(販売サイトによっては600mlとも表記されています)
少し小ぶりですが、表示されている容量はポットの8分目程度だと思うので、実際にはもう少し入るはず。2人分としては問題ないサイズでしょう。
素材はストーンウェア(炻器)で、磁器ほど強度は無いものの陶器よりは固く、吸水性が無いので匂い移りもほぼありません。
当初、色は限定色の「トフィ」にするつもりでしたが、色々な紹介画像を見るうちに釉薬の塗りむらで個性の出るブラウンのほうが味があるように思えて「ロッキンガムブラウン」でお願いしました。
イギリスには「ブラウンベティ( Brown Betty)」という伝統的な茶色のティーポットがあります。
その歴史は古く17世紀後半、イギリスで紅茶が浸透する頃には既に製造されていました。
スタッフォードシャーでとれる良質な粘土質の赤土(テラコッタ)を二度焼きし、ロッキンガム ブラウン グレイズというイギリスの伝統製法で仕上げられています。
このティーポットでいれた紅茶が素晴らしく美味しいと評判になり、何世紀にも渡って愛されているのです。
ロンドンポタリーも、こういったイギリスの伝統的な製法の影響を受けているのでしょう、ロッキンガムブラウンという色名からも見て取れます。
ロンドンポタリーが届いた
赤と白のかわいいデザインのボックスに入って到着したロンドンポタリー。
我が家に来たロンドンポタリーは、重量が中の茶こしもいれて560g。水を8分目くらい入れると1014gでした。
持ちやすいのでそんなに重くは感じません。
600mlの水を入れて8分目より少し上。最大で700ml入るかな?という感じなので、想定通りでした。
厚みも十分に有り、保温性も問題なさそうです。
レビューを見て注ぐときの液だれを心配していたのですが、我が家に届いたポットは水を入れて実際に注いでみましたが大丈夫でした。
色は我が家のディスプレイで見ていたよりも、やや赤みがあり明るく感じました。
艶々としたキャラメルソースのようになんとも美味しそうな色です。
ちなみに同じようなテイストのティーポットで「プライス&ケンジントン」が有りますが、あちらのブラウンは深い焦げ茶でシックな雰囲気。
「ロンドンポタリー」のブラウンは、明るくちょっとパリのカフェっぽさも感じるようなポップな印象でした。
もっとシックな色が良いなら、最近復刻されたダークブラウンが素敵です。
「プライス&ケンジントン」の色味に似ていて、黒よりは温かみがある色で使いやすそう!
そして最初不要と考えていたストレーナーは、ステンレス製で思っていたよりかなりしっかりとしています。
横幅は余り広くないのですが縦は底につきそうなほど長くて、茶葉が開きやすいように大き目です。
ストレーナーの持ち手の部分はバネのようになっていて、ポット本体に押し込むようにしてはめます。
その上から蓋を被せるのですが、その際ただ乗せるだけでは上手く嵌りません。
ちょっとしたコツがあります。
蓋部分に凹みがあって、この凹みでストレーナーの持ち手部分の出っ張りを引っかけるように閉めると、蓋にもロックがかかって注ぐときに傾けても蓋が外れにくくなっているのです。
よく考えられた作りだなと感心しました。
画面上で見て考えていたよりも、更に実用的で雰囲気の良いポットでした。
ただ一点だけ、ネットで見ていた時は気づかなかった点がありました。
それはお湯の投入口が少し小さいことです。
私の手が大きいこともあって、内部を洗おうとすると手を入れるときにちょっと引っ掛かります。
もう一回り広いともっと洗いやすかったと思いますが、手の小さな方は全く気にならないかもしれません。
内部ストレーナーの有る無しで紅茶の味はどう変わる?
早速、気になっていたストレーナー有りでいれた場合と、ストレーナー無しの味を確かめてみることにしました。
同じ茶葉を同じ分量、蒸らし時間でいれてみました。
でもここで誤算が発生。
試飲なので360mlでいれようとしたのですが、ストレーナー有りだと茶葉がかろうじてお湯に浸かっているかな?という湯量にしかならなかったのです。
せっかくの大き目なストレーナーもこれだと意味がありません。
慌てて急遽540mlでいれなおしました。
ストレーナー有りで使用される方は、茶葉が十分開くために一度にポットの8割程度は湯量が必要だと思います。
ティーカップで1杯分(180ml)の紅茶をいれる場合は、ストレーナーを外すことを強くおすすめします。
飲み比べの茶葉は以前レビューもしたエクストラクオリティセイロン(青缶)です。
味 | 良い点 | 気になる点 | |
無し | 爽やかな香りと甘みを感じる。その後に心地よい程度の渋み。 | ストレーナー無しでも茶葉が注ぎ口に詰まったりせず、ストレスなく紅茶を注げる。 | 蓋のロックがかからないので、ポットを斜めに傾けるとき指できちんと蓋を押さえる必要が有る。 (元からストレーナー無しタイプのポットより若干蓋がゆるいのかも) |
有り | 最初に渋味を強く感じる。 紅茶の味自体は出ているが、渋みが強く出ているため、他の味わいが遠く感じる。 香りが弱い。 | 蓋のロック機能はかなり便利で注ぎやすい。 | ストレーナーの目が細かいのでお湯を注ぐとき、勢いよく注ぐと溢れてしまう。 紅茶を注いだ後すぐにストレーナーを洗いたい場合は、ストレーナーが非常に熱くなっているので注意が必要。 |
思っていたよりもはっきりと味の違いが出ました。
ストレーナー有りで、香りが広がらない点に関しては大体予想していましたが、渋みが強くなるのは驚きました。
個人的な感覚ですが、ストレーナー無しでいれた方がマイルドでまろやかな味になるようです。渋みも含めてバランスが取れた味に感じます。
そうはいってもストレーナー有りの紅茶が不味いというわけではありません。
香りが弱くなるという点はありますが、イギリスのようにほぼミルクや砂糖を入れて飲むという場合はそこまで気にならないように思います。
もしストレーナー有りのポットで紅茶を飲んでいて、ちょっと渋みが気になるなと思ったら、一度ストレーナーを外して紅茶をいれてみるのも良いかもしれません。
アッサムやダージリンといった他の茶葉でも内部のストレーナー有る無しで同様に渋みが出るのか、今後飲み比べてみて追記していこうと思います。
初めてのストレーナー付きティーポットでしたが、イギリスらしい実用的でとても使いやすい素敵なポットでした。
プレゼントしてくれた友人に感謝しつつ、これから使い倒そうと思います。
ロンドンポタリーは艶々した質感が特徴ですが、マットバージョンもあります。
ティーコージーも新しいデザインが出てました。
お洋服を着てるみたいで可愛いですね。