当ブログの過去記事「【ロンドンポタリー】紅茶を美味しくいれるティーポットを実際に選んでみた」は3年ほど前の記事なのですが、いまでも非常に人気です。
ロンドンポタリーのティーポットの人気の高さが良く分かるなぁと考えていたのですが、「ブラウンベティ 違い」といったワードで検索して辿り着かれる人も非常に多いんです。
そこでロンドンポタリーとブラウンベティーのティーポットの違いや、どんな人に向いているかを分かりやすくまとめてみました。
ロンドンポタリーとブラウンベティの違い
紅茶用のティーポットを選ぶ時、選択肢によく出てくる「ロンドンポタリー」と「ブラウンベティ」
特に英国紅茶の世界観に魅かれて紅茶を飲み始めたかたは、どちらにしようか悩まれる事でしょう。
まず結論ですが、紅茶初心者さんが初めて買うティーポットとしてならロンドンポタリーがおすすめです。
そして紅茶をある程度飲んでいる人が選ぶ場合は、その人の生活スタイル、性格、使いたい紅茶の種類によります。
ロンドンポタリーとブラウンベティは外見こそよく似ていますが全く性質が違います。
どちらも一長一短あり、どちらかが圧倒的に優れた品ではありません。
ではどう違うのかという部分を説明します。
ブラウンベティは1800年代に登場したティーポットの型を指す
誤解されている人が多いですが「ブラウンベティー」はブランド(会社名)ではありません。
英国で17世紀ごろから使われている伝統的なティーポットの型を指します。
- 赤土(テラコッタ)で手作業で作られている陶器製
- 釉薬は焦げ茶色
- 丸みを帯びたぽってりとした普遍的デザイン
これらを満たし、かつブラウンベティのライセンス所有会社が制作するものが「ブラウンベティ」として販売されています。
逆に「ブラウンベティ」のライセンス所有会社が、白い磁器のティーポットを販売したとしても、それは「ブラウンベティ」とは言えません。
※例外ですが従来のブラウンベティの製法で濃いブルーの釉薬がかけられたティーポットもあります。その場合は「コバルトベティ」というように別名での商品になります。
英国では「ブラウンベティ」によく似た焦げ茶色ののティーポットがたくさん販売されていますが、あくまで「ブラウンベティ風」のティーポットとしてライセンス所有会社の「ブラウンベティ」とは分けられています。
ちなみにライセンス所有会社は今までに数回変わっていて、現在はコールドン社が伝統ある「ブラウンベティ」のティーポットを制作しています。
しかしそんなコールドマン社が2024年12月に廃業というニュースが飛び込んできました。
ブラウンベティーのライセンスが今後どうなるかは現時点では不明です。
ただ今のところコールドマン社製のブラウンベティが制作再開される見込みはほぼ無く、各小売店の在庫のみで販売終了になると思われます。
コールドマン社製ブラウンベティが欲しい人は売り切れ前に購入しましょう。
↑の英国雑貨ANTROさんはまだ在庫があるようです。(2024年1月27日時点)
Amazonや楽天もわずかながら残っているようです。
ロンドンポタリーはテーブルウェアブランドの社名
対して、ロンドンポタリーは陶芸家デビットバーチ氏が1981年ウィンブルドンで設立したテーブルウェアブランドの名前です。
同社の代表的なティーポットシリーズ「ファームハウスティーポット」は英国の農家で使用されていたような温かみのある伝統的なティーポットをイメージしているそうで、まさにブラウンベティにとてもよく似たデザインです。
また、日常的な使いやすさ、実用性を追求して制作されました。
特別な品というよりは日ごろからガンガン使い倒すティーポット。
それがロンドンポタリーの「ファームハウスティーポット」です。
ロンドンポタリーとブラウンベティの最大の違いは炻器か陶器か
ロンドンポタリーは炻器、ブラウンベティは陶器です。
この違いがどちらかを選ぶうえで最も重要になります。
双方とも日常使いのティーポットなのですが、陶器は炻器より格段に取り扱いに注意が必要なのです。
分かりやすく炻器と陶器の違いを表にしました。
炻器(ロンドンポタリー) | 陶器(ブラウンベティ) | |
香りや味の染み込みやすさ | ほとんどなし | 香り・味を吸収しやすい |
洗剤・漂白 | 可・酸素系は可能 | 両方不可 |
固さ | 磁器に近いくらい固い | 磁器、炻器より割れやすく欠けやすい |
熱湯 | OK | ・低めの温度のお湯で慣らす必要あり ・いきなり熱湯をいれるとひび割れることも |
液だれ | 勢いよく注ぐと液だれすることがあるがそこまで気にならない 個体差は多少ある | 手作業制作のため注ぎ口の個体差が激しく、液だれはかなりする そういうものと諦めてマットを敷くのがベスト |
長所 | ・味への影響が少なくニュートラルな味なので茶葉自体の個性が分かりやすい ・匂いや味が染み込みにくいためフレーバードティーに使いやすい | ・味がまろやかになる ・いれたお茶が染み込んで経年でよりまろやかな味を出すことが出来る ・自分だけのティーポットを育てる(養壺)楽しみがある |
短所 | ・ポットの経年による味わい深さは出せない | ・吸水性があるため、使用後すぐに洗う必要がある ・洗剤が使えない ・前に飲んだお茶の風味が混ざりやすい ・香りの強いフレーバードティーは向かない ・衝撃に弱く欠けやすい |
炻器のロンドンポタリーと陶器のブラウンベティには、このように使用感に大きな違いがあります。
ブラウンベティは使い終わったら忘れず洗う事、水気をしっかりとること(水気が残るとカビの原因に)、熱湯をいきなり入れない事などなどの約束事があります。
そういったお手入れをしながら茶器を育てる楽しさにはまる人はブラウンベティが素晴らしい相棒になるでしょう。
既に磁器や炻器のティーポットを所持していて2個目、3個目としてのお迎えなら味の比較も出来ますし良い選択だと思います。
逆に初めてのティーポットとしてお迎えされるならロンドンポタリーがおすすめです。
お茶をいれたあと仕事や用事でそのままうっかり数時間放置してしまったり、ポットを温めるときざばっと熱湯をいれてしまったり、といったうっかりさんも吸水しにくいロンドンポタリーを選んだ方がいいです。
お茶をいれることに慣れて、陶器でいれたお茶の味も知りたいなと思い始めてから手を出すほうが失敗が少ないですから。
まとめ:ロンドンポタリーかブラウンベティかは使い方による
わたしは自分の雑な性格&色んな香りのお茶をいれたいという使用目的からロンドンポタリーを選びました。
ただやはり陶器製のティーポットのまろやかな味にも魅かれるので使ってみたいなとは常々考えています。
もしブラウンベティを購入するなら、英国で使われているようにセイロンティー専用ポットにするのがベストかな。
繰り返しになりますが色々な茶葉を使うなら、ロンドンポタリーのような炻器か、より吸水性の無い磁器製ティーポットを強くおすすめします。
最後に楽天で見かけた良さそうなティーポットをご紹介。
こちらは美濃焼の磁器製ポット(茶こし無し)
柔らかなパステルカラーでシンプルに可愛い。
磁器製なのでお手入れは非常に楽です。
そしてイチオシはやはりロンドンポタリーのダークブラウン。
ブラウンベティの雰囲気と実用性が両立して欲しいなら、やはりこのティーポットかなぁと思ってます。